あたたかい雨

小さな春のお日和が続きます。一昨日も、哀しいけれど冷たい雨ではありませんでした。濡れてもかじかみません。体温を持つ涙の雨粒です。目抜きの通り、商店街を訪れます。まだ5時過ぎだというのに半分近く店じまい。加えて、やたら本日臨時休業のお店が目立ちます。駅から10分弱歩き、路地を東へ少し入ります。慣れ親しんだ場所なのに、気付かなかったなぁ。町家を改造した小さなギャラリーに到着。暗い小道にボ〜ッと小さな灯りがともります。秘蔵品もあります。絵つけの大皿や花器が出迎えてくれます。美しい藍がきめ細かな白い柔肌に浮かび上がります。陶器のことは分かりません。きれいです。もう新作が並ぶことはありません。作者近影です。近くはない写真でしょう。気難しそう。に見えます。やさしかったです。オブジェです。作者の本質です。おしりとその前部。磁器なのに、とってもフワフワやわらかな造形。誰もいなかったら頬擦りすりすりしていたことでしょう。 法要が始まります。どこかで見た面影が座っています。坊さんが入場します。友人です。読経。唱和が響きます。涙ってこぼさぬよう我慢していると、鼻の穴から出て来るものなんですね。説法。というよりもほぼ懐古話。仕方がありません。彼にとっても大事な先輩友人に当たります。なんだけど端々に人が生きるを説いてくれます。立派な市井の坊主です。一席。参列者をどこのどなたか解明していきます。大先輩です。後輩です。当時お世話になったギャラリーの方です。姉妹校に通っていた同好のお嬢さん(当時は)です。みんな、絵を描きはじめました。復活です。なにか、やり残したことを思い出したように。展覧会の案内状を送ってくれるそうな。おしまい。坊さんと夜の街へ。奈良は本当に闇の夜になります。駅近くの居酒屋へ。アーケードのライトが人通りの少ない道を、やたら明るく、むなしく照らします。積もる話に終電となります。

雨上がりの 一服。

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