90歳の紫煙

ぼんやりとTVを眺めていました。くだらない番組だらけだけど、茶の間、リビングにいるときはいつも映っています。元祖テレビっ子です。って言っても、隔世を経て死んだ言葉です。と思います。ちょっと贅沢な娯楽から、大衆一般へ広まり、モノクロからカラーへと変身するのもわずかな期間でした。TVばかり見て、とよく怒られたものです。そう思えば、ケータイ、スマホを一時たりとも手を離すことができない現代人を責めることはできません。画面に、90歳の老人が雄大な山々を背景に煙草を吸っているシーン。何のてらいもなく煙を燻らせています。世界の屋根の麓を荒野から豊かな農耕地に、サンドベージュからフレッシュグリーンに塗り替えた、現地では神様と称される人物らしいです。編集はされていますが、人となりを映すためでしょうか。喫煙シーンはカットされていません。日本を捨てた訳ではないけれど、現地の幸せのために奮闘した姿をドラマ、チックに仕立てたフィクションです。昨年94歳で天上に召されたそうです。友人にネパールのその近辺へ半分仕事、半分趣味で通っている人物がいます。売り物を製造依頼、仕入れてネットショップを経営しています。仕入れ地では、仕事に費やす時間は10%、残りは山登りや現地人と友好しています。この割合は推測です。でも気持ちはこの数字で間違っていないはず。彼も煙草好きです。SNSで、空気が薄いのに酸素を取り入れないで、ニコチンを摂取している山の上の自画像をよく上げています。最近デジタルに疲れたらしく、山を買う、開墾する、土をいじるとほざいているようです。僻地ではありません。日本の大都市住宅地に位置する自宅から車程1時間あまりでいける秘境です。気持ちは甚だしく共感できます。一秒をキッチリ刻むクオーツな時間に飽いて、振り子時計のゆるやかな流れに原点回帰するつもりらしいです。開墾され、食物が実り、山小屋が建った頃に訪ねようと算段しています。何年先になることやら。

90歳の神様はどんな銘柄を吸っていたのでしょうか。 一服。

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