奈良花街(元)にて 一服④

暑さが変わってきました。相変わらず雲の夏です。今年は。湿気が引いてきました。日中もジリジリこないハワイの気候です。ハワイに行ったことがありません。イメージです。朝晩はヒヤリ気持ちがいい。就寝クーラーは必要ありません。置屋さんだったと聞き、訪ねます。まだ、奈良に芸子さんはいるんですよね。置屋はあちらの通りに、らしき家屋があるけれど。

お姉さん曰く。置屋はもうないよ。芸子はなんだか、個人でやってるってのはいるようだけどね。との情報をいただきました。花のないところに、蜂もアブも寄ってきません。いろんなお店も手じまいが早くなります。奈良が日帰り観光地の所以です。坊さんだけが金勘定で忙しいようです。お姉さんがバックヤードに消えます。年季の入った封筒から、おもむろに写真を取り出します。見せてくれます。ホオ〜っ。客三人が潜めた声を上げます。一若さんが宝恵駕籠を前に、しっとり誇らし気に、はいポーズ。名前は駕篭の提灯に記されています。

人丸さんは駕篭に鎮座して、はいチーズ。男衆は緊張の面持ちで収まっています。左奥、かすんで見づらい、てかほとんど分かりません、けど、皇室御用達の奈良ホテルが。本館が垣間見えます。今や、こちらから眺めることはできません。歴史の生写真です。当時のプチ隆盛が伺えます。感嘆と興奮が冷めた頃合いに女性客が立ち上がります。おいとまです。こちらも便乗します。話がつきません。2時間近くいました。長い時間です。初めてです。お姉さんはイヤな顔一つせずお付き合いくださいました。BGMはプレスリーです。久方に、存分に聴きました。喫と茶を満喫しました。

故に店を出てからの一服は、なし。

 

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